スコープ3は、スコープ1,2以外の間接排出を指します。間接排出とは、自社の活動に関連する他社の排出のことです。復習となりますが、スコープ3は「上流」と「下流」に分類され、上流は「原材料の調達や、物流・輸送、生産などで排出される温室効果ガス」、下流は「製品の販売、使用、リサイクル、廃棄などで排出される温室効果ガス」を指します。
上流・下流から、さらに15のカテゴリーに分類され、カテゴリー1~8は上流、9~15は下流に分類されます。
上流 | カテゴリー | 項目 | 該当する活動例 |
---|---|---|---|
1 | 購入した製品・サービス | 原材料の調達、パッケージングの外部委託、消耗品の調達 | |
2 | 資本財 | 生産設備の増税(複数年に渡り建設・製造されている場合には、建設・製造が終了した最終年に計上) | |
3 | Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー活動 | 調達している燃料の上流工程(採掘、精製等)調達している電力の上流工程(発電に使用する燃料の採掘、精製等) | |
4 | 輸送、配送(上流) | 調達物流、横持物流、出荷物流(自社が荷主) | |
5 | 事業から出る廃棄物 | 廃棄物(有価のものは除く)の自社以外での輸送(※1)、処理 | |
6 | 出張 | 従業員の出張 | |
7 | 雇用者の通勤 | 従業員の通勤 | |
8 | リース資産(上流) |
自社が賃借しているリース資産の稼働 (算定・報告・公表制度では、Scope1,2 に計上するため、該当なしのケースが大半) |
|
下流 | 9 | 輸送、配送(下流) | 出荷輸送(自社が荷主の輸送以降)、倉庫での保管、小売店での販売 |
10 | 販売した製品の加工 | 事業者による中間製品の加工 | |
11 | 販売した製品の使用 | 使用者による製品の使用 | |
12 | 販売した製品の廃棄 | 使用者による製品の廃棄時の輸送(※2)、処理 | |
13 | リース資産(下流) | 自社が賃貸事業者として所有し、他者に賃貸しているリース資産の稼働 | |
14 | フランチャイズ | 自社が主宰するフランチャイズの加盟者のScope1,2に該当する活動 | |
15 | 投資 | 株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンスなどの運用 | |
その他(任意) | 従業員や消費者の日常生活 |
横にスクロールで表全体をご確認いただけます。
※1 スコープ3基準及び基本ガイドラインでは、輸送を任意算定対象としています。
※2 スコープ3基準及び基本ガイドラインでは、輸送を算定対象外としていますが、算定頂いても構いません。
出典:環境省「サプライチェーン排出量算定の考え方」(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/supply_chain_201711_all.pdf)よりゼロプラス作成
製造業の中小企業にとってはカテゴリー1「購入した製品・サービス」、カテゴリー4「輸送、配送(上流)」、カテゴリー9「輸送、配送(下流)」が、スコープ3の排出量低減のカギと言えます。以下は製造業B社様のCO2排出量内訳です。
出典:環境省(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/jp2019/C2019_calbee_jp.pdf)の資料よりゼロプラス作成
こちらを見ると、上位3項目であるカテゴリー1,4,9が排出量の80%以上を占めています。
つまり、製造するものにもよりますが多くの製造業の中小企業はカテゴリー1,4,9の排出量が多いと言えます。カテゴリ―1,4,9は排出量削減に比較的企業が取り組みやすいカテゴリーで、自社努力によって大きく削減することも可能です。
調達に関する物流は基本的にカテゴリー4に該当します。ただし、自社が運行する輸送はスコープ1,2に含む可能性があるため、グループ内で輸送会社を有する場合等は注意が必要です。
調達に関する物流は基本的にカテゴリー4に該当します。ただし、自社が運行する輸送はスコープ1,2に含む可能性があるため、グループ内で輸送会社を有する場合等は注意が必要です。
※図表の出典:環境省「サプライチェーン排出量算定の考え方」(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/supply_chain_201711_all.pdf)より作成
自社が荷主の輸送以降はカテゴリー9に該当します。一方、廃棄物の処理場までの輸送はカテゴリー5に該当します。
なお、カテゴリー9を含む下流カテゴリーについては、データの取得が困難で算定できないと思われるかもしれません。しかし、必ずしも取引先からデータの取得が必須ということはなく、業界平均データや代用データ、サンプリング法等を用いて算定するということも可能です。
※図表の出典:環境省「サプライチェーン排出量算定の考え方」(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/supply_chain_201711_all.pdf)より作成
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